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リタイア後に住む国としてアメリカはどうか? (我が家の検討編)
最初に決めた2年というのは、思っていたよりもずっとはやく過ぎてしまったので、とりあえずもう1年延長してはみたものの、初回のシンガポール滞在は、うちの夫には3年くらいが丁度良かったと思います。それまでも、出張や旅行でアジアに来ることは何度もありましたが、夫にとって、アジアに住むのは初めての経験。
シンガポールでは、英語で普通に暮らしたり、仕事をしたりできるとはいえ、やはり文化はアジア文化の国です。
会社には欧米人は少なく、まだゴルフを始めていなかったので、プライベートで欧米人に出会う機会も少なかった…。
そろそろ3年…という頃になると、夫が転職先を探し始めました。
別の会社を探しているというよりは、別の国。私には、とりあえず西洋文化の国に帰りたいように見えました。
まあ普通ならオーストラリアに帰るのが一番妥当な計画にも思えますが、オーストラリアでは、うちの夫が探しているような仕事は余りありません。
やはり業種と職種からすると、アメリカか?ということになり、最後はアメリカに集中して、職探しをしていました。
この転職話は書くと長くなるのでこの辺で省略して、色々あった結果、シリコンバレーにある企業に職を得て、私たちはアメリカに引っ越すことにしました。
カナダに住む夫の両親も、年々身体が老いてきていて、もう長距離の旅行はしたくないというので、私たちの方が彼らの近くに住むというは、その面からも良い案のように思えました。
まあ近いといっても、夫の両親が住んでいたのはカナダの東側で、私たちが住むのは、アメリカの西側。
それでも、飛行機に乗ったらほんの数時間。アジアとかオーストラリアにいる時に比べたら、雲泥の差です。
アメリカにはどれくらい住むか決めずに行きましたが、まあ数年は住むだろうと思ったので、着いたらまず家を買い、無事グリーン・カードも取れたので、私も仕事をはじめました。
そこそこのサイズの庭付きの家に、一人に1台の車。アメリカの医療制度は色々言われていますが、ちゃんとした企業に勤めていると、ちゃんと保険もついてくるので、医療もそれなりにOK。
税金はシンガポールに比べると格段に高いですが、オーストラリアと比べれば同じくらいといった感じ。
私たちが住んでいたカリフォルニアは、気候がシドニーに似ているせいか、街の雰囲気や、住んでいる人の気質もシドニーに似た感じで、私には総じて住みやすい場所でした。
私は生まれてはじめて日本をでて住んだのがサンフランシスコということもあり、懐かしい場所に戻った気分もあったんですよね。
アップルやグーグルの本社が近くにあったりして、夫婦ともに IT系 の私たちにとって、サンノゼ周辺に住んでいるというのは、映画好きの人がハリウッドに住んでいるようなものでした。
当時はまだスティーブ・ジョブズも健在だったし、もしかしたら、その辺でばったりなんてことがあるかも?と思いながらの暮らしは、なかなかエキサイティングでした。
シリコンバレーというと、ハイテク。そのイメージから想像すると、街もモダンなイメージがあるかもしれませんが、サンノゼ周辺はかなりのんびりした街で、周囲には自然も多く、野生動物も多い。
近所の人が集まると、裏庭に現れるスカンクが悪臭を放って困る~などということが、日常の話題だったりする感じでした。
ちょっと車を走らせれば、空は広く、地平線が見える高速が長々と続いていたりして、いかにもカリフォルニア~という感じだし、ロサンゼルスやサンディエゴ、ラスベガスなどといった観光地へも比較的簡単に遊びに行ける。
IT系の私たちには、オーストラリアにいるより仕事は探し易い環境だったし、乾燥した気候も好きで、私はかなり気に入っていました。
ただ、難点がいくつか。
うちの夫が『やはり長期的にアメリカに住むのは嫌だ』 と言い出したいちばんの原因は治安。
特にサンフランシスコ・ベイエリアには、殺人事件件数では悪名高いオークランドという街があって、毎日のように『これで今年の殺人事件累計は◯◯件』みたいなニュースをTVで観ていたし、自分たちが普段使っているガソリンスタンドでも、銃を持った強盗が来たとかなんだとか、そういう物騒な話は日常茶飯事でした。
私たちは幸いにも、そういう事は話に聞くだけで、自分たちが怖い目にあったことはありませんでしたが、やはり銃の規制が甘い国で暮らすのは嫌だと夫はいいます。
夫は生まれ育ちはカナダで、アメリカは他の県のことのようにはよく知っていたし、同じ北米人ということで、言葉も文化も似たところで育ってはいますが、実際にアメリカに暮らすのは初めて。
どんなによく知ってると思っていても、住んでみてはじめて実感するっていうこともあるんだと思います。
治安の面でも、911の事件以来セキュリティの強化がものすごいことになり、国内線でも乗るのが億劫になるくらいだったし、まあ色々と日常生活が不便になりつつあるとは感じはじめていた頃でした。
老後まで腰を据えて住むとした場合の、もう一つの大きな問題は交通の便。
サンフランシスコの街中にでも住めば話は別ですが、アメリカで暮らしていくには車は必需品です。
だいたい私たちが住んでいた街の周辺には、道に歩道というものさえありません。
人が歩いて移動するということを全く想定していないんです。
そんな街に住んでいると、車がなければ牛乳一本買いにいけません。
だからといって流しのタクシーがあるわけでもなく、『人は皆、自分で車を運転する』 というのが前提のインフラになっています。
年老いて車を運転しなくなったら、ここには住めない。
それに、年寄りに治安が悪い国は向いていない。
これはリタイアメント候補地としては致命的です。
元気にバリバリ働いて、会社で保険にも入ることができて、二人とも車を運転して、行きたい時に行きたい所へ行ける。そういう間は住んでいてとても快適なところで、実際夫がシンガポールに帰りたいと言い出した時も、私はこのままカリフォルニアにいたいな~と思ったりしていました。
でも長期的なことを真剣に検討して、仕事を辞めて、車も運転しなくなった時のことを考えると、私としても『ここは無理』 という結論になりました。
当面の結論…私達にとっては、
オーストラリアは『働かなくなったら』快適に住める国。
アメリカは『元気に働いている間は』快適に住める国。
当面は我が家のリタイア後の安住の地探しが続きます。