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そもそも エストニアの e-Residency 「電子住民」とは
前回はエストニアの e-Residency 「電子住民」の申請がタイからでも可能に なった話を書きました。次は e-Residency 「電子住民」の申請からキットの受領までの話を書こうと思いましたが、ここ数日友人とこの話をしていて、e-Residency の制度そのものを知らない人が多く、そこから説明を始めることが多かったので、今日はまずその話から。
ホアヒンの友人たちは、あちこちの国で駐在生活を経験して、その後母国である欧米諸国にはたまに帰りながら、ホアヒンでリタイア生活をしている… という人がほとんどです。
そのため、一般論を語るにはデモグラフィクスが偏り過ぎているのですが、『自国のこと以外にも海外のことにある程度アンテナを張っている』とか『日々の生活でネットを活用している』とかいう点では二重丸の人が多いわけで…。
そういう人たちでも知らない人の方が多かったのは、ちょっと意外でした。
えっ、リタイアメント・ビレッジの住民が『日々の生活でネットを活用している』のか?と思う方もいるかもしれませんが、ここに住んでいる高齢者は、何かの予約、購入、友人付き合い、グループ・イベントへの参加から離れた国に住んでいる家族や友人との Zoom コールなど、本当にネットを駆使して生活しています。
一応タイをリタイア生活の地として選んで住んではいるものの、もっと他にいい国があれば…とアンテナを巡らしている人もいますし、リタイアとはいっても、投資などでアクティブに稼いでいる人もいます。
そういう人たちだから、少なくとも情報としては網に引っかかってきていそうなものですが、そうでもないんですね~。
私なんかは一度興味を表示してしまってから、既に取得してしまっているのに、毎日 e-Residency を取りませんか?という広告がでてきてウンザリなくらいなんですが。
前置きが長くなりすぎました。
そこで、このブログを読んでくださっている方も、e-Residency の制度のことは知らない人の方が多いのかもという前提で、その辺を少し詳しく書くことにしました。
まずe-Residency 「電子住民」の概要ですが
- e-Residency 「電子住民」は実際にエストニアに住むVISAではない
- e-Residency 「電子住民」は全くエストニアに行かなくても完結する
- e-Residency 「電子住民」は利用目的がなくても取得できる
- e-Residency 「電子住民」は余り英語ができなくても取得できる
- e-Residency 「電子住民」は会社の設立ができる
- e-Residency 「電子住民」で銀行口座を開くにはいくつかハードルが
- まとめ
といったところ。
e-Residency 「電子住民」は実際にエストニアに住むVISAではない
e-Residency 「電子住民」ときくと、これを取ればエストニアに住めるのかと思う方もいるかもしれませんが、e-Residency では実際にエストニアに滞在したり住んだりすることはできません。それには別途、通常の渡航に必要なビザを取得する必要があります。
e-Residency はあくまで 電子住民 であって、渡航に必要な手続きとは全く別物です。
e-Residency 「電子住民」は全くエストニアに行かなくても完結する
e-Residency の申請からキットの受け取りまで、実際にエストニアに行く必要は全くありません。もし今住んでいる国でキットの受け取りができない場合は、どこか受け取りができる国へ行く必要がありますが、エストニアに行く必要はありません。
今日現在確認したところでは、日本では受け取り可能ですし、前回書きましたが、タイでも受け取りが可能になりました。
e-Residency 「電子住民」は利用目的がなくても取得できる
ネットでみた限りでは、話の種に取っている人がすごく多いようで、別に e-Residency を取って何をしようというわけではなく、とりあえず取ってみたという人が沢山います。
エストニア政府の統計をみると、10月1日現在で e-Residency を取得した人数は84861人。
そのうち13.2%の人が、取ってどうしようという明確な目的がないと回答しているそうです。
日本人の取得率は思っていたより高くて、全体で見ると上位11位、3396人の人が取得しています。
e-Residency 「電子住民」は余り英語ができなくても取得できる
e-Residency の申請は日本語ではできませんが、全て英語できます。エストニア語は全く必要ありません。
申請は全てネットで完了するので、余り英語ができない人でもグーグル翻訳などを使ってどうにかなる程度です。
口頭で面接などがあるわけではないので、英語が話せなくても心配はありません。
キットの受け取りの時も、日本で受け取る人はそもそも係の人が日本人なのかもしれませんが、バンコクでの受け取りでも、必要な会話は限られているので、タイ語や英語の会話が余りできなくても問題ありません。
e-Residency 「電子住民」は会社の設立ができる
明確な目的がなく取得する人が13.2%ということは、残りの人は何を目的にして取得してるのかというと、やはり一番多いのはビジネス関連…ということのようです。
e-Residency を取得すると、エストニアに会社を設立することができます。しかも設立も運営も全てネットで完了し、エストニアに滞在する必要もありません。
完全にエストニアの国外にいて、全ての手続がネットで完了できます。
一定の場所どころか一カ国に定住することなく、デジタル・ノマド生活をする人が増えている現在、ネットで全ての手続ができる国に会社を作るというニーズはドンドン増えているのでしょうね。
個人の所得は、税金上の住居国への納税になります。私は現在の日本の納税のシステムはわからないので、そちらの方が全てネットで完了するのかどうかは分かりませんが、シンガポールのように、タックスリターンも全てネットで完了する国の人であれば、ほぼ自国に戻らなくても完結するようになってきて、デジタル・ノマド生活者には便利な世の中になりました。
e-Residency 「電子住民」で銀行口座を開くにはいくつかハードルが
e-Residency を取得すると、会社の設立は全てネットで完了しますが、銀行の法人口座を開くにはエストニアに行く必要があるようです。
実際、エストニアに住まずに法人口座を開くには、色々制限もあるようで(この辺は銀行によって違うので各銀行への問い合わせが必要です)そこそこ資本金も多く、大きな企業にしようというのでなければ、最初から銀行の口座は開かないという選択をする人も多いようです。
最近は WISE(旧TransferWISE) などで比較的簡単に法人口座が開けるので、e-Residency で小さな会社を設立する人は、ほぼそういったネット送金システムの会社に口座を開くようです。
まとめ
いまのところ e-Residency でできることは、エストニアに会社を設立するくらいですが、今後ほかのメリットも追加されるのではと期待されるところです。
現在取得している人が、圧倒的に20代後半から40代前半の男性に多いのも、ノマドで放浪している人がその層に多いからなのかなと思います。
それほど高額な費用がかかるわけではないので、何がどうできるのか試したり、話の種に取得する人もいるとは思いますが、当面は会社設立を視野に入れた人が申請するもの…という感じですね。
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